新型コロナウイルスによる患者が日本人にも複数発生し、国、各自治体とも対応に追われている中、企業においても、緊急対策が必要な状況となってきました。
特に、新型インフルエンザ等への BCP 策定済企業でさえ、異動により、対応を理解している担当者や責任者がおらず混乱している状況かもしれません。
下記は、BCP のような事業継続を踏まえ、現時点で考えうる危機管理対応について整理してみました。
1. 各ステージ毎の対応の整理
それぞれのステージでどう組織化し、何をするのかをそれぞれ整理する
- 現在(2020/1/30)、都内発生早期
- 第一ステージ:患者の接触歴が疫学調査で追えなくなり、入院勧告体制が解除
- 第二ステージ:流行注意報発令レベルを目安とし、入院サーベランス等の結果から入院患者が急増
- 第三ステージ:流行警報発令レベルを目安とし、更に定点上昇中かつ入院サーベランス等の結果から病床がひっ迫
- 小康期:患者の発生が減少し、低い水準でとどまっている状態
2. 社内での感染拡大フェーズの定義と対応の整理
それぞれのフェーズで何をするのかをそれぞれ整理し、社内およびグループ社内でのエスカレーションルールおよびルートの整備
- 第一フェーズ:事業所のある都道府県に患者発生(疫学調査で追えている状態)
- オフィスにおける従業員および顧客等入退室時の衛生管理、社内外会議の運営ルール等
- 第二フェーズ:一事業所内に社内感染者発生(数名以下)
- オフィスにおける従業員および顧客等入退室時の衛生管理、社内会議の運営ルール等
- 第三フェーズ:複数の事業所内に社内感染者発生(少数)
- オフィスにおける作業環境および運営管理(時差出勤、リモートワーク等)
- 第四フェーズ:複数の事業所内に社内感染者多数発生およびオフィス閉鎖状態
- 第五フェーズ:小康期
- オフィス出勤再開の条件整理
3. 労務管理上のルール策定
- 従業員およびその家族に疑い患者が出た時の対処(保健所との連携)
- 従業員およびその家族に陰性患者が出た時の対処(保健所、病院との連携)
- 疑い患者および陰性患者が発生した際の濃厚接触者の特定(社内および社外)
- 濃厚接触したと思われる取引先への連絡(電話および文書、保健所との連携)
- 上記状況における出勤禁止およびその期間の定義(最大 14 日間など)とオフィス閉鎖条件の定義
- 有給休暇等、欠勤状態における労務上の取り扱い
- その他、災害見舞金などの取り扱い
4. 従業員向け教育と周知(感染症対応とコンプライアンス)
- 新型コロナウイルス対策としての教育と周知(集合教育および e-Learning)
- 感染者およびその家族に対する社内ハラスメントの注意
- SNS への投稿に対する注意:特に差別的発言禁止など
5. 危機管理組織の対応
- 新型コロナウイルス対策組織のプロジェクト化(最高責任者および担当者)
- 各発生段階における社内感染防止策および社内感染拡大防止策の策定と準備
- 最低限必要な装備と備蓄品
- N95 マスク(もしくは N95 相当)
- PPE(個人防護具):マスク、防護服[ガウン、エプロン他]、ゴーグル/フェイスシールド、シューカバー、キャップ、手袋、ガムテープ等
- 消毒剤:エタノール消毒剤(70%以上)
- 消毒用使い捨てタオル
- 従業員向けサージカルマスク
- 廃棄袋
※ N95 マスクおよび PPE については、装着および着脱衣について要研修
6. マニュアル/手順書の策定
- 2019 新型コロナウイルス危機管理規定(組織と対応概要)
- オフィス内疑い患者発生時の対応マニュアル/手順書策定
- 濃厚接触者対応マニュアル/手順書策定
- 社内消毒マニュアル/手順書策定
- 広報マニュアル/ガイドライン策定