新型コロナウイルスに対応するため、いくつかの企業は、特に IT リテラシの高い企業を中心に、リモートコンピューティングによる在宅勤務への移行がはじまっています。
在宅勤務に関しては、直ぐに始められるものではなく、また仕組みを保持していても、日常的に稼働させ運用していなければ、混乱や急なトラブルへの対応が出来ず、失敗に帰することが容易に予想されます。
労務管理においては、在宅勤務における「労働」の定義(労働時間とその管理、出勤のタイミングと安全配慮義務、賃金、有給休暇の問題など)と、事前に整備しておく事柄は多岐にわたります。
このことは、疑い感染者、陰性感染者、濃厚接触者(社内、社外、家族)へのそれぞれの対応も絡みます。
また情報セキュリティ的な検討も必要となり、特に公衆インターネットを経由するために、自宅からのアクセスに対応した認証システムやネットワーク上の暗号化(SSLは、非常に弱い)、オンプレミスサーバやクラウドサーバ側のセキュリティ強化など、これも事前に準備していなければならない大きなポイントです。
東京オリンピック時には、東京本社企業の従業員が都内への通勤に大きな支障が出ることや、働き方改革の一環として、これらの検討をはじめている大企業は急増しています。
一方、中堅中小企業では、リモートアクセスの導入には、その高額な費用や、構築の困難さ、対応する人材不足などを理由に遅々として進んでいないのが現状です。
企業や組織が、このような喫緊の課題を突き付けられている今、短期的な在宅勤務への対応のためのリモートアクセス整備や業務の RPA 化を行う一方で、企業の規模に関わらず、中長期的な業務システムの改革としてデータトランスフォーメーション、つまり AI の導入タイミングをもう一度見直し、そのロードマップの前倒しを強く推奨します。
特に、現在最も非効率と指摘される管理業務系ホワイトカラー業務の AI 化を進めることは、企業にとって非常に重要な経営課題であると考えられます。
人の労働力を奪うパンデミック感染症の脅威(危機管理)と事業継続を考えた時、企業における「労働」者とは、業務システムとは、など、中長期的なビジョンの方向性や AI 化の推進も、併せて突き付けられているのかもしれません。